こんにちは、トラ男です。
CCNP ENCOR試験では以下の6つの大分類から出題されます。
- デュアルスタック(IPv4 および IPv6)アーキテクチャ
- 仮想化
- インフラストラクチャ
- ネットワークアシュアランス
- セキュリティ
- 自動化
今回はインフラストラクチャ分野の技術知識(レイヤ3:EIGRP)についてまとめていきたいと思います。
EIGRP(Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)
EIGRPはCisco独自の拡張ディスタンスベクター型ルーティングです。
ディスタンスベクタ型とリンクステート型の両方の利点を備えているのでハイブリッド型ルーティングプロトコルとも言われています。
DUALアルゴリズムにより高速収束を実現し、不等コストロードバランシングをサポートしています。
「ネイバーテーブル」「トポロジテーブル」「ルーティングテーブル」の3つのテーブルを保持しているのが特徴です。
ネイバーテーブル | Helloパケットによりネイバー関係を確立したEIGRPルータのネイバーリスト |
トポロジーテーブル | 学習した宛先ルートへの全ルートを保持するデータベース |
ルーティングテーブル | トポロジーテーブルをもとに最適ルートを決定し、パケット転送時に使用する |
EIGRPにおける最適ルート
EIGRPではFD(フィージブルディスタンス)とRD(レポーテッドディスタンス)によって最適ルートが決定します。
- 宛先ネットワークから自身までの全てのネイバー経由のFDを算出
- 宛先ネットワークから自身までのFDのうち、FDが最小のネイバーをサクセサに決定
- サクセサのFDと各ネイバのRDを比較し、サクセサのFDより小さいRDとなるネイバーを「フィージブルサクセサ」に決定
- サクセサをネクストホップとする経路を最適ルートとする(サクセサルートと呼ぶ)
FD(Feasible Distance)
自ルータから宛先ネットワークまでの合計メトリックをFDと呼びます。
RD(Reported Distance)
ネイバールータから宛先ネットワークまでの合計メトリックをRDと呼びます。
なお、RDをAD(Advertised Distance)と呼ぶこともあります。
複合メトリック
EIGRPのメトリックは「帯域幅」「遅延」「負荷」「信頼性」を使用します。
以下の計算式で計算します。
EIGRPのメトリック = 256 ×( 帯域幅 + 遅延 )
※帯域幅 = 10,000 ÷ 経路上の最小帯域幅(Mbps)
※遅延 = 経路上の遅延合計(μ秒) ÷ 10
サクセサとフィージブルサクセサ
EIGRPの最適ルートのネクストホップをサクセサと呼びます。サクセサは宛先ネットワークまでのFDが最も小さくなるネクストホップです。
サクセサのFDよりも小さいRDを通知するネイバをフィージブルサクセサと呼びます。フィージブルサクセサの条件である「FD > RD」を満たすルートはルーティングループが発生しないことが保証されているので、フィージブルサクセサはバックアップルートや不等コストロードバランシングのネクストホップとなります。
ロードバランシング
不等コストロードバランシング
EIGRPは不等コストロードバランシングをサポートしています。デフォルトでは無効なのでvarianceコマンドで設定が必要となります。
(config-router)#variance multiplier
※multiplierは倍率を1-128で指定。
※サクセサの何倍のメトリックまで不等コストロードバランシングの対象とするかを決める
最大パス数
ロードバランシングをする経路数の最大値を指定することができます。
(config-router)#maximum-paths パス数(デフォルトは4)
EIGRPステータス(Passive/Active)
EIGRPではネットワークが安定しているとEIGRPルータのステータスはPassive状態となりルーティングを行います。
しかし、フィージブルサクセサがない状態でサクセサで障害が発生すると、ネイバーに問い合わせ(Query送信)をし、ネイバーから応答(Reply受信)があるまでActive状態となります。
Active状態のルータはパケットの転送を中断し、ルーティングループを防止します。
Hello | ネイバー検出とネイバー関係維持のために定期的に送信 |
Request | ネイバーから特定の情報を得るために使用 |
Update | ルートを通知する ルート変更時にルートの変更分を通知する |
Query | ルートの問い合わせのために送信 サクセサがダウンし、フィージブルサクセサがない場合に送信 |
Reply | Queryに対する返信として送信 |
今回はここまでとなります。続けてCCNP ENCORのインフラストラクチャ分野に関してまとめていきたいと思います。
第七回はこちら。
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