CCNP ENCOR合格のための技術解説(QoS)

CCNP

こんにちは、トラ男です。

CCNP ENCOR試験では以下の6つの大分類から出題されます。

  • デュアルスタック(IPv4 および IPv6)アーキテクチャ
  • 仮想化
  • インフラストラクチャ
  • ネットワークアシュアランス
  • セキュリティ
  • 自動化

今回はアーキテクチャ分野の技術知識(QoS)についてまとめていきたいと思います。

QoS(Quality of Service)

QoSとは音声やビデオ会議などのリアルタイム性を重視する特定のパケットを優先して処理したり、特定の通信のために一定の帯域幅の確保したりなど、ネットワークのサービス品質を向上させるための技術です。

輻輳管理

輻輳を制御することを輻湊管理とよびます。パケットの分類マーキング、そしてキューイングスケジューリングによって輻湊管理を実現します。

パケットの分類

QoS適用対象となるパケットを分類します。
たとえばACLなどによってパケットを分類し、QoS対象パケットを分類します。

パケットのマーキング

分類されたパケットに対して識別子(IP Precedence、DSCP、CoS)をつけます。

キューイング

パケットに付けられた識別子に従って、それぞれの優先度に応じたキュー(パケットを溜めるバッファ)にパケットを格納します。

スケジューリング

各キューからデータを優先度に応じて送信します。

輻湊管理には以下のような方式があります。

方式特徴
FIFO
(Fast-In Fast-Out)
パケットを受信した順に送信する方式。
デフォルトの転送方式。
PQ
(PriorityQueuing)
最優先対象パケットを最優先に転送する方式。
最優先パケットがなくなるまで非優先パケットは転送されない。
CBWFQ
(ClassBasedWeightedFair-queue)
複数のクラスを設定し、クラス毎に最低帯域保証を設定する方式。
輻輳時も設定された最低限の帯域のトラフィックは守られる。
LLQ
(LowLatenceyQueuing)
PQとCBWFQを組み合わせた転送方式。
最優先対象パケットを最優先に転送しつつも、他のパケットもクラスの設定に応じて転送する。

輻輳回避

輻輳回避は、輻輳によるテールドロップ(キューが一杯になったときに後から届いたパケットを全て破棄)が発生する前にキューに待機しているパケットをドロップする機能です。
キューがいっぱいの状態で優先パケットが届いても破棄されてしまうので、それを防ぎます。
テールドロップはTCPグローバル同期の発生の原因となり、トラフィック量が波のようになってしまい、帯域幅を有効に使えなくなってしまいます。

RED(Random Early Detection)

REDはキューに溜まっているパケットの量に応じてノードロップ、ランダムドロップ、フルドロップの3つのモードで動作します。

モード動作
ノードロップキューにたまったパケットが最小しきい値以下の状態でパケットをドロップしない
ランダムドロップキューにたまったパケットが最小しきい値を超えた状態で設定された割合に応じてパケットをドロップする状態
フルドロップキューにたまったパケットが最大しきい値を超えた状態でテールドロップと同様に着信したパケットをすべて破棄する状態

WRED(Weighted Random Early Detection)

WREDでは、REDの破棄率を優先度ごとに設定できます。

帯域制御

帯域制御とはシェーピングやポリシングによって、利用する帯域幅を制御する機能です。
主にWANルータなどでLAN側が1GbpsでWAN側が100Mbpsなどで通信のボトルネックが発生する場合やWAN側IF(100Mbps)とWAN回線契約(20Mbps)の差があるときなどに利用されます。

シェーピング

設定した送信レートを超えないように送信レートを超えるパケットをキューでバッファリングし、送信間隔を調整しトラフィックを平準化する機能です。

なお、遅延、ジッタ発生の要因となります。

ポリシング

設定した送信レートを超えたパケットを破棄します。

シェーピングとは違いキューイングをしないため、遅延やジッタ発生の要因とはなりません。

IP Precedence

IPヘッダーのToSフィールドの前半3bitの値のこと。
0~7の8段階の優先度をつけることができます。

DSCP

IPヘッダのToSフィールドの前半6bitの値のこと。
前半3bitがIP Precedence値であり、下位互換性がある。
0-63の64段階の優先度をつけることができます。

DSCPは細かくマーキング可能ですが、大きく分けると以下の4つとなります。

名称DSCP値特徴
EF
(Expedited Forwarding)
46
(101110)
最優先で処理したいパケット用のマーキング。
主にIP電話のような音声パケットに使用する。
AF
(Assured Forwarding)
10,12,14,18
20,22,26,28
30,34,,36,38
確認転送用のクラス。
優先度と破棄レベルの組み合わせを12段階で指定できるマーキング。
CS
(Class Selector)
0,8,16,24
32,40,48,56
(XXX000)
DSCPとIPPの互換用のマーキング。
CS4であればIP Precedence5と互換できる。
DF
(Default Forwarding)
0
(000000)
ベストエフォート用のマーキング。
QoSによる優先処理を行わない。

CoS

EthernetフレームのIEEE802.1Qヘッダー内のフィールドを使用する3bitの値のこと。
VLANタグ内に設定される値のため、タグVLANでないと使用できない。
0~7の8段階の優先度をつけることができます。

QoSグループ値(QoS groups)

QoSグループ値は、set qos-group コマンドを使用して設定される 0 ~ 99 の数値です。
QoSグループ値を使用することで任意のパケットをQoSグループに分類することができます。
パケットはデバイス内で処理されている間だけ、QoSグループ値で識別され、パケットが出力インターフェイスを介して送信されるときにはQoS グループ値はパケットのヘッダーに含まれません。

今回はここまでとなります。続けてCCNP ENCORアーキテクチャ分野に関してまとめていきたいと思います。

第10回はこちら

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